このくだらない日常に推しという名の花を飾ろう

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しがない大学生オタクのひとりごと

中途半端なオタク

先日、とある番組に音楽ユニット・YOASOBIが出演していた。

妹がYouTubeで聴いていて「夜に駆けるめちゃくちゃいいな」と思ったのがきっかけで好きになったアーティストであり、どんなことを話してくださるのか非常に楽しみにしていた。

しかし、ここで予想だにしない出来事が起こったのである。

なんと、「TikTokでバズったアーティスト」として紹介されていたのだ。

その番組では「バズった」わけだけではなく、ご丁寧にTikTokの使い方まで紹介されていた。(あれ、つい最近日本でTikTokの利用が規制されますよ〜〜〜って言ってたばかりじゃなかったっけ)

私はTikTokというものを使ったことがないばかりか、安全性に関して正直疑問を抱いているのでここまで宣伝して大丈夫なのか?と思ったが、それはさておき。

 

番組を見ていて衝撃だったのが、今のティーン層はTikTokで曲を知ってそこからその曲のフル尺をApple Musicなどのストリーミングサービスで聞く」「アーティストやアルバム単位で曲を聴かないので、曲を知っていてもアーティスト名を知らない場合が多い」という事実が紹介されていたことだった。

 

えっ……アルバム単位で曲聴かないの……?

 

もちろん音楽には様々な楽しみ方があるし、YouTubeの好きなアーティストの曲のMVのコメント欄に「TikTokから来ました!」という投稿があってもそこまで目くじらを立てるほどではない。まあアーティストの方に失礼という意見があるかもしれないが、個人的にはさほど気にならない。

ただ、(これはクソデカ主語になってしまうのは承知だが)今のティーン層がそのアーティストが紡ぎ出す「物語」を知らずに、ただ単に「流行りのネタ」として曲を消費しているように思えてしまって、大声で、泣いちゃったのであった。

何度でも言うが、音楽には様々な楽しみ方がある。「TikTokの曲」として楽しんでもそれはそれで1つの音楽の楽しみ方だから別に否定はしない。ただ単に、「アーティストのことを知ろうとしない、アルバムを聴こうとしないなんてもったいないなぁ」という気持ちである。

 

もちろんこれが私がジャニオタで、ジャニーズがサブスク解禁が遅くCDをPCに取り込んでWALKMANで聴く、という楽しみ方がメインだったからそう思ったというのもあるかもしれない。一番オタクをしていた中高時代がSpotifyなどのストリーミングサービスがそこまでメジャーじゃないどころかまだLINEの走りの時代だったというものあるかもしれない。それでもやっぱり「アーティストの作品全体を通したメッセージを知った方が、QOL爆上げになるよ???」と私の心の中のフワちゃんが呼びかけている。

ただ、そういった感情が生まれてしまったことが、なんだか年をとってしまったというか、価値観をアップデートできず「昔は良かった」と思い込んでいる老害になってしまったようで悲しくなってしまった。ごめんよぉ大学生のおばちゃんにはなんのこっちゃ分からないんだ……本当にごめんよぉ…………………

 

それともう1つ話は変わるのだが、テレビ番組の所謂「オタクコンテンツ」に対する扱いがまだまだ発展途上なのかな?と思ってしまうことがある。

 

別の番組で「20代に人気の夏うた」としてアニメ「化物語」のED「君の知らない物語」が流れた時にワイプに映っていたゲストが皆ポカーンとしていた顔をしていたのに対し、「アニソンといえば……」の流れで新海誠映画のRADの主題歌が流れたり残酷な天使のテーゼが流れたりしてワイプのゲストが「うんうん」と頷き楽しそうな素振りを見せる、という一幕があった。

 

私はそれを見て、テレビ屋さんがオタクをようやく認めるようになったとはいえ、「オタク」の認識が2000年代前半で止まってしまっている、また最近の「オタク」の動向を表面的にしか追っかけていないのではないか、とちょっと思ってしまったのである。

 

もちろんその番組は(名前を出してしまうとMステなんだが)マスメディアの名の如く「大衆向け」なので、そんなに「オタク」を理解した番組を作って欲しければオタク専用チャンネルを作ってしまえばいい、というかオタクは一生ニコ動に引きこもってろという意見があってもそれはもっともだし、「嫌なら見るな」「テレビのメインターゲット層は40〜50代なんだから君たち若いオタクはそこから外れてるってことだよ」というのが正論だ。

 

しかしなんとなく「大衆」「世間」からのズレを感じてしまうというか、「オタク」の存在が宙ぶらりんになってしまったようで悲しくなってしまった。テレビ側が「ほら、君たちオタクくんの好きなものを持ってきたよ!」とコンテンツを提供しても、当事者であるオタクは「結局俺らのことなんか分かってないんじゃーん」となるのがオチである。

そのためにテレビ側がオタクに寄り添ったコンテンツを展開してくれとは思わない。テレビではないにしろ、サークルでメディア媒体に関わったことがある人間としては、コンテンツを作る、届けるということがどれだけ大変か分かっているからだ。ここではただ単に、世間一般との認識のズレを感じてしまって悲しくなってしまった、という個人の感想を述べたいだけである。

 

 

世間一般には染まれず、かといってTikTokを楽しむイマドキのオタク層の楽しみも理解できず、2000年代後半〜2010年代前半の「楽しかったあの頃」に取り残されたオタク。中途半端なオタク。きっとこのブログを読んでいる人の中にも、そういった人がいるだろう。いやいてくれ。頼む。

とはいえ、オタクたるもの、人間たるもの、常に進化し続ける時代に追いつかなければならない。でも、今は、今だけは、楽しかったあの頃の余韻に浸らせてくれ。中高時代好きだったアーティストのアルバムを全曲通して聴いて、「物語」をもう一度味わわせてくれ。

以上、オタクの戯言でした。やっぱりwowakaさんは最高だわ。